
美容室を開業しようとする際に初めに必要になるのが、事業計画書です。 事業計画書をつくる目的は、融資を受ける際に必要なものであることと、美容室のゴール設定をするためです。
どんな美容室を作りたいのか綿密に計画を立てましょう。
目次
1. 事業計画書に入れるべき3つのカテゴリー
1) コンセプトとターゲット
「誰に、どんな価値を提供するのか」を考えましょう。 このコンセプトがお客様を呼び、働く仲間を集め、美容室を作るためのパートナーを動かします。
コンセプトを明確にする事で、お店の立地や、デザイン、内装をどのようにするべきかも見えてきます。
2) 損益計算
前項のコンセプトで作った理想の美容室運営を実現するためには、初期費用と、収支を考えていく必要があります。 これが「初期投資計画」と、「損益計算」です。
理想の美容室を理想で終わらせないためにも、現実的な数字を算出しましょう。 理想と現実のギャップが課題となり、この課題を明らかにすることが大切です。
3) 戦略づくり
理想の美容室を実現するために必要な課題を解決していきましょう。
損益計算で出した売上目標を達成するために、必要となる客数、適正な単価、どんな施策を打つべきか、情報収集をしっかり行いながら考えて行きましょう。
戦略づくりは、コンセプトや売上目標などを達成する手段になる為、最も大切な項目と言えます。
一度作った戦略で目標が達成できなければ常に原因を追求し、別の戦略を考えます。 トライ&エラーを繰り返して、理想の美容室を作って行きましょう。
2. コンセプトを考える
開業準備を始めるにあたり、最初に取り組むのは事業計画書の作成です。
その中でも最初に手がけるべきことはなにか?
それは、「コンセプト」と「ターゲット」を明確にすることです。
事業は「誰に」「何を」伝えるのかが非常に重要です。 この2つはバラバラに考えては効果がありません。
今回はこの「コンセプト」について考えていきましょう。
1) コンセプトとは
コンセプトは事業計画書の核になる部分です。では、そもそも何のためにコンセプトを作るのでしょうか?
コンセプトを明確に設定することで、お客様に美容室の魅力や特徴をわかりやすく伝え、スタッフにはサロンが目指すべき方向をわかりやすく伝えることができるのです。
2) コンセプト例と作成のポイント
スターバックスコーヒーのコンセプト、「サード・プレイス」を例にとってお話ししましょう。
「家庭」や「職場」でもない、ゆっくりできる「第三の場所」になることを目標にしており、コーヒーはその手段やツールであるというコンセプトです。
内装やデザインには、間接照明、ふかふかのソファなどを使い、ゆったりしたB G Mなどで落ち着いたリビングのような雰囲気作りをする スタッフの方が笑顔で親しげに話しかけてくれる・気の利いたサービスを提供してくれる・等も、「サード・プレイス」というコンセプトを実現するために重要なポイントです。
コンセプトはお客様と従業員に「わかりやすく」伝えることが大切です。より伝わりやすいように、長い文章ではなく、20文字以内の言葉で考えましょう。
3) コンセプト作成の流れと考え方
コンセプトを考える際に、何から考えればいいのかわからない方も多いかと思います。 では、コンセプトを作る際の流れやヒントをお伝え致します。
流れとしては、
「だれの」
「どんな問題を」
「何を使って」
「どう解決するのか?」
この「どう解決するのか?」がコンセプトを作る大きなヒントになります。
たとえば、
Q:「だれの?」
A:「20代〜30代女性の」
Q:「どんな問題を?」
A:「仕事が忙しく、美容と健康に注力できない日々を」
Q:「何を使って?」
A:「確かな技術と安全な薬剤、リラックスできる店内で」
Q:「どう解決するのか?」
A:「美と健康を通して、心からの幸せを感じてもらいたい」 という回答とすれば、
A:「美と健康を通して、心からの幸せを感じてもらいたい」 これが実現させたいこと=コンセプトの原型です。これを20文字以内にまとめることを考えます。
ここからは、原型に沿ってとにかく数を多く出し、ピンとくるものを選ぶ作業になります。
「心からの幸せを」、「美と健康で幸せにしたい」、「美と幸せを」、「心のやすらぐ場所」、「美と健康をあなたに。」、「美とやすらぎをあなたに」などなど… とにかく書き出しましょう。
3. ターゲットとなるお客様の層を設定する
年間3000件以上増えている美容業界。
独立される美容師様や2店舗以上の出店をされる美容師様や美容室経営者様はまだまだ多くいらっしゃいます。
しかし、闇雲に独立出店しているような状態では、閉店もしくはギリギリの状況での運営になってしまいます。
そのような状況にならない為に、 今回は、美容室の独立や出店に、明確なターゲット・目的を構築させる事の大切さをご説明していきます。
1) ペルソナ=コアターゲット
美容室を開業する上で考えるべきことはたくさんあります。 その中でも特に大切なことに、「どんなお客様に対してビジネスを行うのか?」という「ターゲット設定」があります。
ターゲット設定をするにあたって、「ペルソナマーケティング」という手法を使います。
これは、今現在も多くの企業で採用されており、ペルソナとは「仮面」という意味です。
ここでのペルソナは、美容室を最も利用してくれるモデルユーザーのこと。 すなわち、美容室のコアターゲットのことを言います。
ターゲットの「年齢」、「性別」、「職業」、「収入」、「ライフスタイル」、「ファッション」等を細かく設定していきましょう。
2) なぜペルソナを設定するのか
ペルソナは美容室のコアターゲットですので、
・メニュー構成
・店舗デザイン
などが美容室づくりをしていく上での非常に重要な指針となります。
ペルソナが変更されれば、自ずとコンセプトやメニュー構成も変更しなければなりません。
たとえば、20歳の女性をペルソナに設定し、事業計画書を作成していたとします。
それを途中で30歳の男性へ変更すると仮定します。 性別も世代も違うターゲットへ変更になれば、当然コンセプトやメニュー構成、店舗デザインなども変更しなければなりませんよね?
性別・世代などによって、お店に求めるものは全く異なってくるのです。
よりお客様のニーズを掴み、心に響く美容室をつくるためにも、明確にペルソナを設定しましょう。
とても店舗数が多い美容業界では、他の美容室とは違うという「差別化」が、ユーザーから支持される上で重要なキーワードとなります。
ユーザーが求めているサービスや商品を設定、充実させていくことは、美容室の差別化を行なう上でもとても有効な戦略です。 このようにペルソナを明確化すると
・内装、デザインのイメージは?
・メニューは何を売りにするか?
・価格はいくらぐらいが適正か?
・広告、宣伝媒体は何を使うのが効果的か?
など、美容室の方向を示す上で重要なポイントが決まっていきます。
まとめ
コンセプトは、「お客様」と「従業員」にわかりやすくお店の核となる部分を伝えるためのものです。
文字数は20文字以内で考えましょう。
また、コンセプトを作るコツは、ターゲットとなるお客様の「問題解決」を考えましょう。 コンセプトを設定することで、美容室の核になる部分が決まっていきます。
また、ターゲットとするお客様が店したくなる施策を実施・充実させていくことで、他店との「差別化」を行うことができます。