来てほしいお客様は?ターゲットから考える戦略づくり

メニューの価格はどうやって決めるべきでしょうか。

 

メニューの価格決定は美容師としての経験上の常識や、以前働いていた店舗の価格を参考に決めているオーナー様が多いようですが、今回はターゲットから考える、美容室の戦略づくりについてご説明して行きましょう。

 

1.価格戦略

美容室がメニューの価格を決めるときには、いくつかの方法があります。

 

コストから逆算する方法

施術に必要な原料費や人件費を考え、そこに利益を上乗せする方法です。美容室のビジネスは原価率が低いので、施術にかかる費用は主に人件費となります。

 

スタッフの給料が時給1,200円として、1時間で1件の施術をした場合、原料費が500円と想定すると1,700円以上の価格にすると、その差額が利益になります。

 

競合店と比較して価格設定する方法

出店エリアのライバル店の価格を参考に、価格を決める方法です。

 

エリアの平均を参考に価格を設定する場合もありますし、自分が参考にしている店舗と比較し、価格を決める場合もあります

 

顧客のニーズから価格設定する方法

ターゲットとしているお客様が「この価格なら利用したい!」と思える価格を設定します。

 

この方法には明確な基準はなく、美容室の「意思」や「ブランド」として価格を決めていきます。もちろんそのエリアの平均より高くなる場合もあります。

 

2.まずはターゲット設定をしましょう

上記3つの価格戦略はそれぞれ別々になっているわけではなく、コストから逆算して価格を出し、その価格を競合店と比較して価格を決定することもあります。

 

中でもまず最初に考えるべきことは、「顧客ニーズ」からのアプローチです。お客様が求める美容室の価値は様々です。

「ここの美容室は、丁寧なケアでダメージを治してくれる」

「思った通りのカットをしてくれるから、いつもこのお店に来ている」

 

など、

あなたの美容室に通うことで、お客様が得られる価値を明確にする必要があります。これがコンセプトになります。

 

また、価格感も人それぞれです。

カットやカラーをしてもらうことに、いくらだったら支払えるかはお客様ごとに違います。

 

ですので、コストや競合店との比較だけで価格を決めるのではなく、お客様に提供できる価値を考え、価格を設定して行きましょう。

 

3.設定したターゲット層のお客様を見つける

ここで注意点があります。

ターゲットとなるお客様の層を設定し、その層のお客様にとって価値のある素晴らしいサービスを作っただけではいけません。

出店するエリアにターゲットとするお客様がいることが大切なのです。

 

だからこそ市場調査が必要です。

市場調査の方法として最も効果的な方法は、お客様へのヒアリングです。

ご自身の顧客の中で「この人に来てほしい」という人がいれば、その人にライフスタイルや髪の悩み、今の施術で満足している点などを聞けば、より具体的なイメージを掴めます。

 

 

一般的には、出店エリアの人口や世帯年収などの統計データを調査します。

 

「一人暮らしが多いか」「子育て世帯はどのくらいいるか」「駅の利用者は1日どのくらいか」などさまざまなデータがあるので、まずは色々な視点から見て、全体像を把握しましょう。

 

また、ウェブサイトなどでライバル店の口コミをみると、想定するターゲット層のお客様がどんなサービスに満足・不満足を感じているかがわかります。

 

実際にエリアを歩いて、ターゲット層のお客様が「どこにいるのか」「どの時間帯に何をしているのか」などを観察することも効果的です。

 

もちろん、市場調査だけでそのターゲットがいると断定はできません。

想定したお客様が来るかどうかは、実際にオープンしてからでないとわからないのです。

 

オープン後は、来店されたお客様を分析しましょう。

実際に来店されたお客様が、想定していたターゲット層と違っていれば、そのお客様が美容室に求めているものと違いが出てくるかもしれません。

 

まとめ

価格を決めるためには、まずターゲットとする客層を設定しましょう。「ターゲット層とするお客様が求めている価値」をメニューに反映させましょう。

 

価格には、明確な基準は存在せず、お客様が「このサロンには○○円払っても通いたい」と思う基準と、実際の価格が見合うかどうかです。

 

お客様のニーズや抱えている悩みは「年齢」、「性別」、「職業」、「収入」、「ライフスタイル」、「ファッション」などあらゆる要素の組み合わせによって異なります。

 

ターゲットとなる客層を明確にし、その層が美容室に求めている価値を想定してそれにふさわしい価格を設定する。この工夫がビジネスをする上で重要になってきます。

 

開業では「誰にどんな価値を提供するか」をしっかりと事業計画書に反映させましょう。