融資担当者も納得!損益計算書の書き方

 

美容師の方々方にとって、自分のお店を持つというのはひとつの目標だと思います。しかし、開業=ゴールではありません。

開業の最終的な到達地点は美容室の繁盛です。せっかく開業したものの、利益が出なかった場合、営業を続けることはできません。

どんなに開業費用を抑える工夫をし、たり、親族からの支援を受けたとしても、美容室が潰れない保証にはなりません。つまり、利益が出る美容室を作るということが重要なのです。

どのくらいの利益が欲しいか。そのためにはどのくらいの売上を作る必要があるか。どのくらい経費を抑えられる必要があるか。開業後、何ヶ月目で利益が出始めるか。 現実的な目線から利益を予測していく。これを損益計算と言います。

融資を受ける場合は、銀行の融資担当者に事業計画書を提出します。当然ながらですが、銀行はお金を返済出来返してくれる見込みのある美容室にしかお金を貸しません。 オーナーは、損益計算を通して返済できる美容室であることをアピールする必要があります。

今回は、損益計算には何を書くべきかを解説していきます。

 

1.売上高と粗利の計算

 

売上高

お客さまから頂く代金のこと。ビジネスをする上で、売上を上げることがオーナーの第一の目標になります。

美容室の場合、売上は以下のように2つの項目に分けられます。

 

・技術売上…カット、カラー、パーマなど美容師が施術を行って得た売上

 

・店販売上…シャンプー、トリートメントなど、お客様が購入する商品によって得た売上
 
 

売上高は客数×客単価で計算することができます。客数は経営者ご自身の経験や実績から新規顧客獲得を想定したりリピート率を考えたりして、月間の目標を決めていきます。

 

また、客単価に関してもライバル店と比較したり、以前働いていた美容室の価格帯を参考にしたりして決定します。

 

たとえば、1日15人、1ヶ月(30日)で450人のお客様がご来店されると仮定した場合、単価が8000円とすると1ヶ月の売上は450人×8000円=360万円と算出できます。

 

仕入高

施術に使う原料(カラー剤やパーマ液など)や販売用に仕入れた商材の合計金額を示します。「原価」とも言います。

 

美容室の平均的な技術売上の原価は売上の10%前後、店販売上の原価は70%前後と言われています。カラーの料金が5,000円とすると、500円の原価がかかることになります。

 

カラー剤やパーマ液の使用量を減らしたり、仕入れ先と交渉して仕入れ値を下げることができれば、原価を削減することができます。

 

売上総利益

売上高から仕入高を引いた金額のことです。売上高は、美容師様の技術やサービス、仕入れた原料や商材を使って作って行きます。売上総利益とは美容室のサービスや商品の価値を示すものです。

 

原価を抑え、高い売上を作ることができれば、利益の出る美容室につながります。

 

2.経費と利益の計算

 

販売管理費

サービスや商品を売って得た「売上総利益」から、人件費、家賃、広告宣伝費など店舗の運営に必要なお金を支払っていきます。この運営費を「販売管理費」と言います。

 

営業利益

売上総利益から販売管理費を支払った後に残った分が「営業利益」です。これを黒字にし、増やして行きましょう。

営業利益を黒字にするためには、売上総利益を増やしながら、販売管理費を抑える必要があります。販売管理費が売上総利益を上回る状態が続くといずれ倒産してしまいます。

 

3.現金収支の重要性

 

営業利益が黒字になったからといって、安心はできません。重要なのは、自分の手元に入ってくる現金(キャッシュ)です。

なぜ現金収支が重要かというと、営業利益額をローンの返済に充てるためです。

 

そのため、売上があれば返済できるというのは間違いで、銀行の融資担当者は、売上よりも営業利益をみて融資の判断を行っています。

営業利益から銀行にローンを返済したあとに現金がいくら残るのかを考えましょう。

個人事業主であれば、その現金収支で保険料や税金、そして生活費を払っていけるかという所まで含めて計画を立てていきましょう。

 

まとめ

損益計算では、売上高から現金収支までを現実的に予想、算出し、計画を立てていく必要があります。それぞれの項目をおさらいしましょう。

  • 売上高…………お客様からいただくサービスの対価
  • 仕入高…………サービスを行うために必要な原料費
  • 売上総利益……サービスや商品の価値
  • 販売管理費……美容室を運営していくための経費
  • 営業利益………美容室を営業して得られた利益
  • 現金収支………最終的に手元に残る現金

 

利益の出る美容室にするためには売上だけ見ていてはいけません。現金収支に着目することが大切です。

そのためには、売上から現金収支までの工程をしっかりと検証して行きましょう。